かさぶたが濃い部分と薄い部分に分かれていて、施術が失敗したのではないかと不安を感じていませんか。
アートメイク後のかさぶたがまだらになることは、多くの場合において正常な治癒の過程で起こる現象です。ただし、まだらと呼ばれる状態には性質の異なる3つのパターンがあり、中には早めに医療機関へ相談すべきものも含まれています。
この記事では、現在のまだらがどのパターンに当てはまるのかを判断する方法と、それぞれの対処法、解消までの期間の目安について解説します。
監修医師
院長 大島由美子
アートメイク後のかさぶたがまだらになるのは正常な反応
アートメイクは、専用のマシンを用いて皮膚の浅い層に色素を入れていく医療行為です。施術を受けた皮膚には目に見えないほど細かな傷ができるため、その傷を保護しようとして体液が分泌され、それが固まることでかさぶたが形成されます。
このかさぶたには、傷口を外部の刺激から守る役割と、細菌の侵入を防ぐ役割、そして入れた色素をその場所にとどめて定着させる役割があります。つまりかさぶたができること自体が、皮膚が正常に回復に向かっているという証といえます。
そして、かさぶたの基になる体液の分泌量は、皮膚の厚みや皮脂の量、血流の状態によって細かく変わります。同じ眉の中であっても、体液が多く出る場所には厚いかさぶたが、少ない場所には薄いかさぶたができるため、全体を見たときに濃淡のあるまだら模様として認識されることになります。
このまだらなかさぶたは、全て剥がれ落ち、その後に皮膚のターンオーバーが進むことで解消していきます。見た目に不安を感じやすい時期ではありますが、回復の途中段階であるとご理解ください。
まだらには3つのパターンがあります
まだらと感じている状態は、次の3つに分けて考えることができます。ご自身がどれに当てはまるかを確認したうえで、以降の対処法をお読みください。
かさぶた自体の厚みが違って見えるまだら
施術後およそ2日から3日ほどで、施術部位に薄い膜のようなかさぶたが形成され始めます。前述の通り、このかさぶたの厚みは場所によって差が出るため、厚い部分は色が濃く、薄い部分は下の皮膚が透けて淡く見えます。
まだかさぶたが全く剥がれていない段階で濃淡を感じている場合は、このパターンに該当します。正常な経過であり、かさぶたが剥がれ落ちれば見えなくなるので、触らずに経過を見守って問題ありません。
かさぶたが剥がれた後に生じる色ムラ
かさぶたは、一度に全てが同時に剥がれるわけではありません。摩擦を受けやすい場所や乾燥しやすい場所から、数日かけて少しずつ剥がれていきます。
そのため途中の段階では、すでに剥がれた部分と、まだかさぶたが残っている部分が混在することになります。剥がれた部分は色が薄く、残っている部分は色が濃く見えるため、この差がまだらとして強く意識されます。
さらに、かさぶたが取れた直後の皮膚は再生したばかりで薄い膜のような状態にあり、その膜が色素を覆うために、本来の色よりも淡くぼやけて見えます。一部分だけ色が抜けてしまったように感じられるのはこのためです。
この色ムラは、皮膚のターンオーバーが進んで色素が表面近くに安定してくることで、おおよそ1か月から1か月半をかけて均一に近づいていきます。
医療機関への相談が必要なまだら
一方で、次のような状態を伴う場合は、正常な経過とは考えにくいため医療機関への相談が必要です。
かさぶたに血が混ざっている場合や、けがをしたときのようにゴワゴワと分厚いかさぶたができている場合は、色素を入れる際に必要以上に深く傷がついている可能性があります。また、2週間以上経過しても剥がれない部分が残っている場合や、まだらな部分の赤みが広がって熱を持っている場合、黄色や緑色の膿のような分泌物が出ている場合、ズキズキとした痛みが日を追うごとに強くなっている場合、我慢できないほどのかゆみを伴う発疹が出ている場合も同様です。
これらは感染やアレルギー反応の可能性があり、時間の経過だけでは改善しません。市販の消毒薬や塗り薬を自己判断で使用せず、施術を受けたクリニックへご相談ください。
かさぶたがまだらに見える期間の目安
かさぶたの経過には個人差がありますが、一般的な目安をお伝えします。
施術当日から2日目までは、赤みや腫れが中心で、かさぶたはまだ形成されていません。この時期は入れた色素がそのまま見えているため、色が濃く均一に感じられます。
2日目から3日目にかけて薄い膜状のかさぶたができはじめ、厚みの差によってまだらな見え方が出てきます。
4日目から7日目は、かさぶたが部分的に剥がれはじめる時期にあたり、剥がれた部分と残っている部分の差が最も大きくなります。まだらが最も気になるのはこの数日間です。
7日目から10日目ごろにはほとんどのかさぶたが剥がれ落ちます。リップアートメイクの場合は10日前後かかることもあります。この段階では全体的に色が薄く感じられますが、色素が抜けきったわけではありません。
その後、2週間から1か月半ほどかけて皮膚のターンオーバーが進み、色素が安定して均一な見た目に落ち着いていきます。
つまり、まだらが最も目立つのは施術後4日目から7日目です。この時期を触らずに乗り越えることが、最終的な仕上がりを左右します。
かさぶたがまだらになる主な原因
色素を入れた深さに差がある
施術では、デザインに応じて色を濃く入れる箇所と淡く入れる箇所を作り分けています。色素が比較的深く入った箇所には厚いかさぶたが、浅く入った箇所には薄いかさぶたが形成される可能性が高いです。
皮膚の浅い層で行う繊細な作業であるため、色素の入り方にわずかな差が生じることは避けられません。この差がかさぶたの厚みの違いとなり、剥がれるタイミングのずれにもつながります。
部位ごとに皮膚の厚みと皮脂量が異なる
同じ眉の中でも、眉頭と眉尻、眉山では皮膚の厚みや皮脂の分泌量が異なります。血流が豊富で新陳代謝が活発な部分ではかさぶたが早く剥がれる傾向があり、反対に皮脂の分泌が少なく乾燥しやすい部分では厚めのかさぶたが形成され、剥がれるまでに時間がかかります。
眉頭と眉尻で濃さが違って見える、あるいは左右で剥がれ方が違うと感じる場合の多くは、この皮膚状態の差によるものです。
乾燥肌や敏感肌などの体質による影響
乾燥肌や敏感肌の方は、まだらが生じやすい傾向があります。皮膚が乾燥するとバリア機能と柔軟性が低下し、かさぶたが硬くなってひび割れを起こします。割れた部分から不揃いに剥がれるため、濃淡の差が強く出ることになります。
また、これらの肌質の方はかさぶたが本来より早く剥がれやすく、その部分の色素が定着しきる前に脱落してしまうこともあります。空気が乾燥する冬場や、洗顔とクレンジングの回数が多い方も同様に注意が必要です。
施術部位への摩擦や刺激
洗顔時の摩擦、タオルで水分を拭き取るときの圧力、前髪が施術部位に触れ続けること、就寝中に枕へ擦れることなど、日常の何気ない動作が特定の場所だけに刺激を与えています。
特に、いつも同じ向きで就寝される方は、下になる側だけかさぶたが早く取れてしまうことがあります。刺激を受けた部分から先に剥がれるため、結果としてまだらな状態になります。
代謝が高まる行動をとっている
激しい運動やサウナ、長時間の入浴、飲酒などによって血流が促進されると、かさぶたが本来のタイミングより早く剥がれてしまいます。全体が一斉に剥がれるわけではないため、この場合もまだらとして現れます。
部位別に見るまだらの現れ方
眉アートメイク
眉のかさぶたは薄い膜状で、色は茶色から薄い黄色が一般的です。自眉に隠れるため、他の方からまだらであると気づかれる可能性は低いです。
一方で眉は、洗顔や前髪の接触、枕への摩擦といった外部からの刺激を最も受けやすい部位でもあります。前髪をピンで上げておく、枕カバーを清潔に保つといった配慮だけでも、剥がれ方の偏りを抑えることが期待できます。
リップアートメイク
唇はもともと乾燥しやすく、面積も広いため、まだらが最も目立ちやすい部位です。かさぶたというよりも、乾燥した季節に唇の皮がめくれる状態に近く、白っぽい皮が部分的にめくれることで濃淡が生まれます。
ダウンタイムも他の部位より長く、剥がれ落ちるまでに10日前後かかることがあります。食事や歯磨きの刺激、無意識に唇をなめる習慣が剥離を早める要因になりますので、この期間は特に意識して避けてください。
アイラインアートメイク
アイラインには薄い皮が張ったようなかさぶたができ、色はほとんどの場合が黒です。乾燥によるつっぱり感があるためご本人は気になりますが、他の方が気づくほど目立つことは稀です。
まばたきによって常に動く部位であるため、目頭や目尻から先に剥がれてまだらに見えることがあります。
ヘアラインおよび頭皮アートメイク
面積が広く髪に隠れるため、まだらは比較的目立ちにくい部位です。ただしシャンプー時の摩擦によって一部だけが早く剥がれることがあり、生え際のラインが不揃いに見える場合があります。洗髪の際は指の腹でやさしく洗い、シャワーの水圧を直接当てないようにしてください。
まだらになったときの正しい対処法
無理に剥がさず自然に取れるのを待つ
まだらな状態を見ると、めくれかけた部分を取って見た目を揃えたいと感じられるかもしれませんが、この行為は避けてください。
かさぶたが残っている時間が長いほど傷の回復は早く進み、色素も定着しやすくなります。反対に、定着しきる前に無理に剥がしてしまうと、色素が一緒に抜けてその部分だけ色が薄くなり、まだらな状態が固定されてしまうおそれがあります。皮膚を傷つけることで炎症や色素沈着、傷跡につながる可能性も否定できません。
かさぶたは自然に脱落するものですので、剥がれかけている部分があっても手を加えず、保湿によってできるだけ長くとどめることを意識してください。
保湿剤で乾燥を防ぐ
乾燥はかさぶたを硬くし、不均一な剥がれ方を招く最大の要因です。処方された軟膏やワセリンを、指示された頻度で薄く塗布してください。
塗る際は清潔な手または綿棒を使用し、こすらずになでるように広げます。量を多く塗っても効果が高まるわけではありませんので、薄く伸ばすことを心がけてください。洗顔後や入浴後は乾燥が進みやすいため、できるだけ早いタイミングでの塗布が望ましいです。
洗顔とクレンジングの方法を見直す
施術後3日間(頭皮アートメイクの場合は施術後24時間)は施術部位を濡らさないよう、注意してください。施術後3日から1週間は、施術部位を濡らすこと自体は問題ありませんが、擦ることは避けてください。ぬるま湯でやさしく流す程度にとどめ、タオルで拭く際も押さえるように水分を吸い取ります。
1週間が経過した後にメイクを再開される場合は、ミルクタイプのクレンジングをおすすめします。オイルクレンジングは色素の定着を妨げる可能性があるため、しばらくの間は避けていただく方が安全です。
なお、かさぶたが残っている段階で施術部位にメイクをすることは避けてください。化粧品に付着した雑菌が傷口から入り、感染や炎症を引き起こすおそれがあります。
回復を助ける生活習慣と栄養
かさぶたがきれいに剥がれ、色素が均一に定着するためには、皮膚そのものの回復力を高めておくことも有効です。
傷の修復に関わる栄養素として、ビタミンCとビタミンE、鉄分、亜鉛が挙げられます。ビタミンCはオレンジやブロッコリー、パプリカなどに多く含まれ、ビタミンEはアーモンドやほうれん草、アボカドなどから摂取できます。鉄分と亜鉛は赤身の肉や魚、ナッツ類に多く含まれています。特定の食品に偏らせるのではなく、バランスよく取り入れることを意識してください。
また、皮膚の再生は睡眠中に進みますので、施術後の1週間は特に7時間から8時間程度の睡眠時間を確保することが望まれます。体内の水分が不足すると皮膚も乾燥しやすくなるため、こまめな水分補給も心がけてください。
反対に、施術後1週間は激しい運動やサウナ、長時間の入浴、飲酒を控えてください。これらは血流を急激に高め、かさぶたを早期に剥がれやすく、定着を妨げる可能性があります。
医療機関に相談すべき症状
多くのまだらは経過とともに解消しますが、次の症状を伴う場合は自己判断を避け、施術を受けたクリニックまたは皮膚科にご相談ください。
施術部位の痛みや腫れが日ごとに強くなっている場合、赤みが施術範囲を越えて広がり熱感がある場合、黄色や緑色の膿のような分泌物が出ている場合、我慢できないほどのかゆみを伴う発疹が出ている場合は、細菌感染やアレルギー反応が疑われます。
また、かさぶたに血が混ざっている場合や、2週間以上経過しても分厚いかさぶたが剥がれない場合は、傷が深く形成されている可能性があります。この状態は自然な経過では改善しにくく、放置すると傷跡や色素の脱落につながることがあります。
早い段階で相談することで、悪化を防ぎ回復を早めることにつながります。いつもと違うと感じられた際は、遠慮なくお問い合わせください。
まだらはいつ解消するのか、リタッチで整えられるのか
全てのかさぶたが剥がれ落ちた後、皮膚のターンオーバーが進むにつれて色素は徐々に表面近くへと安定していきます。最終的な色が定まるまでの期間は、かさぶたが取れてからおおよそ1か月から1か月半が目安です。
またアートメイクは、一度の施術で完成する施術ではありません。初回は色素の定着率に個人差が大きく、入れた色の半分程度が抜けることも通常の経過の範囲内です。そのため多くのクリニックでは、初回から1か月から3か月後を目安にリタッチの機会を設けています。
リタッチでは、初回で色が薄くなった部分に色素を足し、まだらや色ムラを整えることができます。ただし皮膚が完全に回復してから行う必要があり、前回の施術から最低でも1か月は間隔を空けることが望ましいとされています。間隔が短すぎる再施術は、かえって色素の定着を妨げる要因になります。
まだらが気になる場合でも、まずは1か月半ほど経過を見て最終的な色を確認した上で、リタッチの内容をご相談いただくことをおすすめします。
次回の施術でまだらを防ぐために
今回まだらな状態を経験された方が、次回の施術に向けて準備できることがあります。
まず、施術の2週間ほど前から施術予定部位の保湿を始めてください。乾燥した皮膚は色素が入りにくく、かさぶたも不均一になりやすくなります。特にリップアートメイクの場合、事前の保湿状態が仕上がりに大きく影響します。また、可能であればスクラブで角質を落としておくことをおすすめします。
次に、施術後の4日目から7日目は、摩擦と代謝の両方を抑えたい期間にあたります。運動やサウナ、飲酒などは控えましょう。
また、カウンセリングの際には、肌質やアレルギーの有無、服用中の薬、過去の施術経験を正確にお伝えください。これらは施術者が針を入れる深さや色素の量を判断するための重要な材料となります。
よくある質問
まとめ
アートメイク後のかさぶたがまだらになるのは、皮膚が回復していく過程で自然に起こる現象です。かさぶたの厚みが場所によって異なること、そして剥がれるタイミングにずれが生じることが、濃淡として現れています。
まだらが最も目立つのは施術後4日目から7日目にかけてで、その後は皮膚のターンオーバーとともに落ち着き、1か月から1か月半をかけて色が安定していきます。この期間に必要なのは、施術部位に触れないことと、乾燥させないことの2点です。
ただし、かさぶたに血が混ざっている場合、2週間以上剥がれない場合、膿や強い痛み、広がる赤みを伴う場合は正常な経過とは異なりますので、速やかに医療機関へご相談ください。
最終的に色ムラが残った場合も、リタッチによって整えることが可能です。焦らずに経過を見守っていただくことが、美しい仕上がりへの近道となります。








