アートメイク後のかゆみの原因
アートメイクの施術を受けた後、かゆみを感じる場合があります。これは正常な皮膚の反応であることがほとんどですが、中には注意が必要なケースもあります。
ここでは、アートメイク後にかゆみが生じる主な5つの原因と、それぞれの特徴を解説します。
傷が治る過程で起こる自然な反応
アートメイクは、専用の針で皮膚の浅い層にごく微細な傷をつけ、そこに色素を注入する美容施術です。この傷が治る過程で、体内でヒスタミンなどが放出され、それが神経を刺激することでかゆみとして感じられます。
これは、転んでできた傷やかさぶたが治るときにかゆくなるのと同じ、ごく自然な体のメカニズムです。
乾燥による皮膚のバリア機能の低下
施術直後の皮膚は、デリケートで非常に敏感な状態にあります。この時期に皮膚の水分が失われると、皮膚表面を守るバリア機能が弱まり、普段は問題ないわずかな刺激にも反応してかゆみが生じやすくなります。
かさぶたが形成・剥離するときの刺激
アートメイクでは、施術箇所の保護のため、ごく薄い膜状のかさぶたができます。このかさぶたが固まり始める時や、剥がれ落ちて新しい皮膚に入れ替わる時期に、強いムズムズとしたかゆみを感じることがあります。
施術箇所は、かゆみが出ても絶対に手でかいたり、無理に剥がしたりしないでください。これが色素のムラや、定着しない原因となります。
色素や麻酔などに対するアレルギー反応
頻度は高くありませんが、施術に使用する薬剤や素材に対して体が過敏に反応し、アレルギー性のかゆみが生じることがあります。
- 色素アレルギー:使用する色素にごく微量含まれる金属成分に反応してしまうケースです。金属アレルギーをお持ちの方は、特に反応が出やすい可能性があります。
- 麻酔アレルギー:施術前に使用する表面麻酔クリームの成分に反応してしまうケースです。過去に薬物アレルギーの既往がある方は、事前に必ず申告してください。
- 針の素材:ごく稀ですが、使用する医療用針の金属成分に反応するケースも考えられます。
細菌感染症による炎症
最も注意が必要なのが、不適切なアフターケアや衛生管理によって施術箇所が細菌に感染し、かゆみが生じるケースです。
感染が原因の場合、単なるかゆみではなく、炎症を伴うより強い症状が見られます。
また合併症を起こしてしまった場合、患部の異常な腫れやズキズキとした強い痛み、膿や浸出液の分泌、発熱が生じる場合があります。これらの症状が1つでも見られた場合は、自己判断せず、すぐに施術を受けたクリニックへ連絡し、診察を受けてください。
アートメイク後のかゆみへの対処法
アートメイク後、色素が定着するまでのダウンタイム中に、かゆみが出た場合の対処法を詳しく解説します。
まずは掻かないように注意しましょう。 掻いてしまうと、かさぶたが剥がれてしまい、色素が定着しにくくなったり、傷跡が残ったりする可能性があります。
まずはクリニックで処方された軟膏やワセリンで保湿します。 保湿することで、乾燥による痒みを抑えることができます。 ワセリンは、肌の表面に油膜を張ることで、皮膚内部の水分蒸発を防ぎ、乾燥を防ぎます。 また、外部からの汚れや雑菌をブロックする効果もあります。
それでもかゆみが治らない場合は、施術部位を冷やしましょう。清潔なタオルで包んだ保冷剤などを施術部位に優しく当てて冷やすと、症状が和らぐことがあります。
アートメイク後の痒みは、ダウンタイムが終了するとともに治まることがほとんどですが、症状が改善しない場合は、自己判断せずにクリニックに相談しましょう。
アートメイクを掻いてしまった場合の対処法
万が一、アートメイクの施術部位を掻いてしまった場合、色素が定着しにくくなる、傷跡が残る、炎症を起こすなどのリスクがあります。 ここでは一般的な対処法をご紹介しますが、症状が悪化する可能性もありますので、自己判断せずに必ずクリニックに相談するようにしてください。
施術直後~かさぶたができるまでの間
この時期は、色素がまだ肌に定着しておらず、擦ることで色素が流れ出てしまう可能性が高いため、 絶対に掻かないように注意が必要です。万が一掻いてしまった場合は、清潔な水で優しく洗い流し、クリニックから処方された軟膏やワセリンを塗布して、施術部位を保護してください。
かさぶたができている間
かさぶたは、傷口を保護する役割を果たしているため、無理に剥がすと、色素が定着しにくくなる、傷跡が残る、炎症を起こす 可能性があります。掻いてかさぶたが剥がれてしまった場合は、傷口を清潔な水で優しく洗い流し、クリニックから処方された軟膏やワセリンを塗布して、施術部位を保護してください。
強く擦ってしまい出血している場合は、清潔なガーゼなどで軽く押さえて止血し、その後、クリニックに連絡して指示を仰ぎましょう。
かさぶたが剥がれ落ちた後
この時期も、色素が完全に定着するまでには時間がかかるため、 引っ掻くなどの刺激を避けるように注意が必要です。
アートメイク後のかさぶたについて
ここまででアートメイク後にかさぶたができるのは、自然な現象であり、傷口を保護し、細菌などの侵入を防ぐ役割を果たすことがわかりました。アートメイクのダウンタイム中のかさぶたの状態や経過を詳しく説明します。
- かさぶたができる時期:施術後2~4日後
- かさぶたの色:かさぶたができると、施術部位の色が濃く見えることがあります。 これは、かさぶた自体が濃く見えるためで、必ずしも色素が濃く定着しているわけではありません。
- かさぶたの自然剥離:かさぶたは、通常1週間ほどで自然に剥がれ落ちます。 無理に剥がさず、自然に剥がれるのを待ちましょう。
- かさぶたが取れた後:かさぶたが取れると、新しい皮膚が現れます。色素の定着には肌質やライフスタイルで個人差があります。通常2〜3回ほど施術をくり返して完成を目指します。
アートメイク施術後の部位別アフターケア
アートメイク施術後のアフターケアは、施術部位によって注意点が異なります。それぞれの部位における具体的なアフターケア方法を以下にまとめます。
眉毛アートメイクのアフターケア
- ダウンタイム:1週間〜10日間ほど
- 症状:腫れや赤みが出る場合がありますが、施術部位を冷やすと落ち着きやすくなります。
- 注意点:施術直後〜3日間は濡らさないようにし、処方された軟膏で保湿しましょう。ダウンタイム中は、施術部位に刺激を与えず、洗顔料やクレンジング剤がつかないように注意することが大切です。
アイラインアートメイクのアフターケア
- ダウンタイム:1週間〜10日間ほど
- 症状:目が腫れぼったくなる場合がありますが、数日で治まることが多いです。
- 腫れは、頭を心臓よりも高くすることで防ぐことができます。
- 施術後は、寝転ぶことを避け、夜寝る際は枕を高くするなど工夫しましょう。
- 注意点: 施術後24時間はコンタクトレンズの着用を控えましょう。
リップアートメイクのアフターケア
- ダウンタイム:1週間〜10日間ほど
- 症状:赤みや腫れが出たり、唇の皮がむけたりすることがあります。
- 注意点:
- 施術後は、辛いもの、塩分の多いもの、極端に熱いものや冷たいものなど、刺激物は避けましょう。
- 唇への刺激を避けるため、大きな食べ物は小さく切って、一口サイズにして口に運びましょう。飲み物を飲む場合はストローを使うと安心です。
- 施術部位は清潔に保ち、歯磨き粉が付着した場合は、清潔なガーゼやティッシュで優しく拭き取りましょう。
- 施術後最低でも3日間は処方された軟膏を塗り良く保湿するようにしましょう。
ヘアラインアートメイクのアフターケア
- ダウンタイム:1週間〜10日間ほど
- 症状: 数日間、痛みや腫れを感じることがあります
- 注意点:
- 施術後24時間は洗髪を控えましょう。
- 翌日以降は、施術部位を避けて洗髪することができますが、ゴシゴシこすったり刺激を与えないように注意しましょう。
- ヘアカラー剤やパーマ剤は傷口に強い刺激を与えるため、施術後1ヶ月は使用を控えましょう。
全ての部位に共通する注意点
- 施術当日:洗顔は控えましょう。
- 施術後3日間:入浴やサウナは控え、シャワーのみで済ませましょう。
- シャワーを浴びる際は、施術部位に軟膏を塗ったりラップで覆うなどして濡らさないようにしましょう。
- 施術後1週間:
- 施術部位へのクレンジング、化粧水、乳液、日焼け止め、メイクは控えましょう。
- 施術部位以外にメイクをする場合は、拭き取りタイプのクレンジングシートなどを使用し、施術部位にクレンジング剤がつかないよう注意してください。
- 施術後1週間:運動、温泉、プールは控えましょう。
- 施術後1ヶ月:ピーリング効果のある化粧品や施術は控えましょう。
- 施術部位に触らない:炎症を起こす可能性があるため、施術部位には触らないようにしましょう。
- かさぶたを無理に剥がさない:自然に剥がれるのを待ちましょう。無理に剥がすと、出血したり、色素が定着しにくくなることがあります。
- 市販の消毒液、かゆみ止め、ワセリンなどの軟膏は使用しない:必ずクリニックに問い合わせてから使用しましょう。
- 紫外線に注意する:色素の変色や退色の原因となるため、施術の2週間ほど前から紫外線対策を行いましょう。施術後も紫外線対策を欠かさないように注意してください。
アートメイク後のかゆみは適切に対処することが大切です
アートメイク後にかゆみを感じた場合は、掻いたり擦ったりせず、処方された軟膏を塗りましょう。それでもかゆみが落ち着かない場合は、清潔なタオルに巻いた保冷剤などで冷やしてください。
万が一、掻いたり擦ったりしてしまった場合は、自己判断せず必ずクリニックに相談することが大切です。
