誰もが知っているビタミンCですが、効果や選び方は知らない方が多いのではないでしょうか?このページではビタミンCの種類、選び方、注意点など基本的なことから、併用がおすすめな成分や塗る順番まで詳しく解説します。
ビタミンCの種類
ビタミンCには、大きく分けて「純粋ビタミンC」と「ビタミンC誘導体」の2種類があります。 「純粋ビタミンC」は、そのままの状態だと不安定で酸化しやすく、化粧品に配合してもすぐに効力がなくなってしまいます。 そのため、多くの化粧品には、「ビタミンC誘導体」が配合されています。
1. 純粋ビタミンC
- 別名:アスコルビン酸、ピュアビタミンC、活性型ビタミンC、即効型ビタミンC
- 特徴:つけた瞬間にビタミンCとしての効果を発揮する即効性
- 欠点:壊れやすく、肌に浸透しにくい
- 化粧品への配合:
- 水に溶かすと不安定になるため、配合が難しい
- 配合されている場合でも、安定化のための工夫が必要
- 大量に塗布し、紫外線に当たると「ビタミンCラジカル」が発生し、肌を痛めるリスクがある
2. ビタミンC誘導体
- 特徴:純粋ビタミンCを安定化させ、肌への浸透力を高めた成分
- 作用機序:肌に触れると酵素の働きでビタミンCに変換されて効果を発揮
- 種類:水溶性、脂溶性、両親媒性の3種類
2-1. 水溶性ビタミンC誘導体
- 特徴:水に溶けやすい性質
- メリット:即効性が高い
- デメリット:浸透力は脂溶性ビタミンC誘導体に劣る
- 種類:リン酸型とグルコシド型
- リン酸型
- 特徴:比較的浸透性が高い
- 配合されている化粧品の例:美容皮膚科で使われている化粧品
- その他:肌が弱酸性なのに対して、リン酸型は弱アルカリ性
- グルコシド型
- 特徴:安定性が高いが、肌に浸透しにくい
- その他:価格が安いビタミンC配合化粧品に多く含まれる
- リン酸型
2-2. 脂溶性ビタミンC誘導体
- 特徴:脂に溶けやすい性質
- メリット:水溶性ビタミンC誘導体よりも皮脂膜や角質層への吸収率が高く、持続性に優れる
- デメリット:即効性は水溶性ビタミンC誘導体に劣る
- その他:敏感肌・乾燥肌の方におすすめ
2-3. 両親媒性ビタミンC誘導体
- 特徴:水にも油にも馴染みやすい性質
- その他:年齢肌の悩みに対して効果が期待できる
ビタミンCの肌への効果
ビタミンCは、美肌のために欠かせない成分として知られており、様々な効果をもたらします。
- 抗酸化作用: ビタミンCは強力な抗酸化作用を持ち、紫外線やストレスなどによって発生する活性酸素を抑制します。活性酸素は、シミ、シワ、たるみなどの肌の老化を引き起こす原因となります。ビタミンCはこの活性酸素を除去することで、エイジングケア効果を発揮します。
- メラニン生成抑制: ビタミンCは、シミの原因となるメラニン色素の生成を抑制する働きがあります。メラニンは、紫外線などの刺激から肌を守るために生成されますが、過剰に生成されるとシミやくすみの原因となります。ビタミンCは、メラニン色素の生成に関わる酵素チロシナーゼの働きを阻害することで、メラニンの生成を抑えます。さらに、すでに生成されたメラニン色素を還元し、色を薄くする効果もあります。
- コラーゲン生成促進: ビタミンCは、肌のハリや弾力を保つコラーゲンの生成を促進します。コラーゲンは、加齢とともに減少していくため、ビタミンCを摂取することで、シワの改善や予防、たるみ毛穴の改善、肌の弾力UPなどの効果が期待できます。
- 皮脂分泌抑制: ビタミンCは、皮脂の過剰分泌を抑える働きがあります。ニキビは過剰な皮脂が毛穴に詰まることで発生するため、ビタミンCを摂取することでニキビの予防効果が期待できます。また、皮脂分泌が抑制されることで、毛穴の開きや黒ずみの改善にもつながります。
- ターンオーバー促進: ビタミンCは、肌のターンオーバー(肌の生まれ変わり)を促進する効果があります。ターンオーバーが促進されると、古い角質が剥がれ落ちやすくなり、新しい肌細胞が生まれやすくなります。その結果、シミやくすみ、ニキビ跡などが改善されやすくなります。
- その他: ビタミンCは、毛細血管の血行を促進する効果もあります。血行が促進されると、肌に栄養が行き渡りやすくなるため、肌の健康維持に役立ちます。
ビタミンCは、食事やサプリメントで摂取するだけでなく、スキンケア製品にも配合されています。肌へ直接塗ることで、より効率的にビタミンCを肌に届けることができます。ビタミンC配合のスキンケア製品を選ぶ際には、「リン酸型」ビタミンC誘導体配合のものがおすすめです。「リン酸型」は、肌への浸透性が高く、効果が持続しやすいという特徴があります。
ビタミンCの効果的な摂取方法
ビタミンCは、人体で生成できないため、外部から摂取する必要があります。効果的にビタミンCを取り入れるには、食事、サプリメント、スキンケアの3つの方法があります。
食事による摂取
- ビタミンCを多く含む食品: ビタミンCは、様々な野菜や果物に含まれています。特に、ブロッコリー、ピーマン、カリフラワー、ほうれん草、キウイ、イチゴ、ミカン、リンゴ、ナシ、カキ、ブドウなどに多く含まれています。これらの食品を生で食べるか、加熱時間を短縮することでビタミンCの損失を抑えることができます。
- 調理方法: ビタミンCは水溶性で熱に弱いため、調理方法によって損失量が大きく変わります。水洗いする際は、ヘタや皮をつけたまま洗い、カットするのも調理直前にすると、ビタミンCの損失を抑えられます。また、電子レンジや炒め物など短時間で調理できる方法を選び、煮汁も一緒に食べるようにすると効率的に摂取できます。イモ類はデンプン質がビタミンCを保護するため、加熱してもビタミンCが損失しにくいという特徴があります。
- 柑橘類の摂取時間: 柑橘類には、ビタミンC以外にも「ソラレン」という光毒性を持つ成分が含まれており、紫外線に当たるとシミを促進する可能性があります。そのため、柑橘類は朝や大量摂取は避け、夕方以降に食べるのがおすすめです。
サプリメントによる摂取
- 食事からの摂取が難しい場合: 毎日バランスの取れた食事を摂るのが理想ですが、外食が多いなど、食事から十分なビタミンCを摂取するのが難しい場合は、サプリメントの活用も有効です。サプリメントは、安定した状態でビタミンCを摂取できるというメリットがあります。
- 摂取量: 厚生労働省が定めるビタミンCの1日の推奨摂取量は100mgですが、これは最低基準です。健康維持には800mg以上、美容目的には1,000mg以上の摂取が推奨されています。
- 過剰摂取: ビタミンCは水溶性ビタミンなので、過剰に摂取しても尿として排出されますが、一度に大量に摂取すると下痢や腹痛を引き起こす可能性があります。サプリメントを利用する際は、1日の摂取量を守ることが大切です。
スキンケアによる摂取
経皮吸収とはビタミンCを肌に直接塗ることで、表皮にビタミンCが吸収され、様々な効果をもたらします。
ピュアビタミンCとビタミンC誘導体
ビタミンCは、不安定で酸化しやすい性質を持っているため、化粧品には、安定性を高めた「ビタミンC誘導体」が配合されていることが多いです。ビタミンC誘導体は、肌に浸透した後、酵素の働きでビタミンCに変換されて効果を発揮します。ピュアビタミンC配合の化粧品もありますが、その場合でも、安定化のためにカプセル化などの処理が施されています。
種類と特徴
ビタミンC誘導体には、「リン酸型」、「グルコシド型」、「脂溶性」、「両親媒性」など様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。
- リン酸型: 肌への浸透性が高く、効果が持続しやすい。シミ、ニキビ、毛穴、たるみなど、様々な肌悩みに効果が期待できます。
- グルコシド型: リン酸型に比べて安定性が高いが、肌への浸透性が低い。
- 脂溶性: 保湿力に優れ、敏感肌や乾燥肌の方におすすめ。
- 両親媒性: コラーゲン生成促進効果が高く、年齢肌の悩みに効果が期待できます。
その他
- 高濃度ビタミンC点滴: 食事やサプリメント、スキンケアだけでは十分な効果が得られない場合は、医療機関で高濃度ビタミンC点滴を受けるという方法もあります。点滴によって、血中ビタミンC濃度を飛躍的に高めることができます。
ビタミンCは塗る?飲む?
美容に効果的なビタミンCですが塗る(経皮摂取)と飲む(経口摂取)のはどちらが良いのでしょうか。詳しく解説していきます。
効果的に肌に届けるには「塗る」
ビタミンCを効果的に肌に届けるには、塗る方が効率的です。経口摂取(飲む)した場合、ビタミンCは身体のあらゆる臓器に優先的に行き渡り、消費されてしまいます。そのため、消化・吸収の過程で多くが失われ、サプリメントなどの経口摂取では血中濃度を上げるのに限界があります。一方、塗ることでビタミンCを直接肌に届けることができ、より効率的に作用させることができます。
経皮摂取(塗る)する場合の注意点
- ビタミンC(アスコルビン酸)は、不安定で酸化しやすいため、化粧品に配合するとすぐに効力がなくなってしまいます。
- そのため、多くの化粧品には、安定性を高めるために他の分子を結合させた「ビタミンC誘導体」が配合されています。
- ビタミンC誘導体は、肌に触れると酵素の働きでビタミンCに変換されて効果を発揮します。
- また、ピュアビタミンCを配合している化粧品もありますが、その場合もカプセル化などの処理が施され、肌に浸透してからビタミンCとして働く工夫がされています。
経口摂取(飲む)も大切
- 人間は体内でビタミンCを生成することができないため、食事やサプリメントから摂取することが必要です。
- ビタミンCは、コラーゲンの生成、活性酸素の抑制、免疫力向上など、美容と健康の両面で重要な役割を果たします。
おすすめは併用すること
ビタミンCを肌に直接届けたい場合は、塗る方が効率的です。しかし、体全体の健康を維持するためには、食事やサプリメントで摂取することも大切です。経口摂取によって体に必要なビタミンCを補いながら、必要に応じて、ビタミンC製剤や誘導体など肌から吸収しやすいように加工されたタイプの製品を使用する経皮摂取も追加すると良いでしょう。
ビタミンC配合化粧品と併用すると良い成分
ビタミンC配合化粧品と併用すると良い成分はたくさんありますが、相性の良い成分を3つのカテゴリーに分けてご紹介します。
保湿成分
セラミド
セラミドは、肌の角質層にある細胞間脂質の主成分で、水分を保持する役割を果たします。セラミドが不足すると、肌の水分保持能力が低下し、乾燥肌や敏感肌になりやすくなります。ビタミンCは、セラミドの生成を促進する効果も期待できます。
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ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は、ムコ多糖類の一種で、1gで6リットルもの水分を保持する高い保水力を持つ成分です。肌の水分を保ち、ハリと弾力を与えます。ビタミンCと併用することで、相乗的に保湿効果を高めることができます。
コラーゲン
コラーゲンは、肌の真皮に存在する繊維状のタンパク質で、肌のハリや弾力を保つために重要な役割を果たします。ビタミンCは、コラーゲンの生成を促進する効果があります。
ヘパリン類似物質
ヘパリン類似物質は、高い保湿力を持つ成分で、肌の水分を逃がさないようにします。また、抗炎症作用や血行促進作用もあるため、肌荒れや乾燥によるかゆみなどを抑える効果も期待できます。
抗炎症成分
グリチルリチン酸ジカリウム
グリチルリチン酸ジカリウムは、甘草の根から抽出される成分で、抗炎症作用、解毒作用、抗アレルギー作用があります。ニキビや肌荒れなどの炎症を抑え、肌を健やかに保ちます。ビタミンCと併用することで、肌の炎症を抑えながら、美白や毛穴ケアなどの効果を高めることができます。
ナイアシンアミド
ナイアシンアミドは、ビタミンB3の一種で、肌のバリア機能を改善し、炎症を抑える効果があります。また、メラニンの生成を抑える効果もあるため、シミ・そばかすの予防にも効果が期待できます。
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角質ケア成分
サリチル酸
サリチル酸は、古い角質を柔らかくし、除去を促す効果があります。毛穴の詰まりを改善し、ニキビや肌荒れの予防にも効果が期待できます。
タンパク質分解酵素
タンパク質分解酵素は、古い角質を分解し、除去を促す効果があります。肌のターンオーバーを促進し、くすみを改善する効果も期待できます。
その他
ビタミンE
ビタミンEは、ビタミンCと一緒に摂取することで、相乗効果が期待できます。ビタミンEはビタミンCの抗酸化作用を助け、より効果的に活性酸素を除去します。
鉄
コラーゲンの生成には、ビタミンCと鉄が必要です。鉄分が不足すると、ビタミンCを摂取してもコラーゲンが十分に生成されません。
・使用前に、製品の説明書をよく確認しましょう。
・肌に合わない場合は、使用を中止してください。
ビタミンCの効果を最大限に引き出すために、相性の良い成分を理解し、日々のスキンケアに取り入れてみてください。
ビタミンC化粧品を使用するタイミング
「ビタミンC」が具体的にどの種類を指すかによって、使用する順番が変わってきます。製品の説明書をよく確認し、自分の肌質や使用感に合わせて、適切な順番で塗布するようにしましょう。
1. 「ピュアビタミンC(アスコルビン酸)」の場合
- ピュアビタミンCは即効性が高いですが、壊れやすく肌に浸透しにくいという欠点があります。
- 水溶性であるため、油溶性のセラミドを先に塗ると浸透を妨げる可能性があります。
2. 「ビタミンC誘導体」の場合
- ビタミンC誘導体は、ピュアビタミンCを安定化させ、肌への浸透力を高めた成分です。
- ビタミンC誘導体には、水溶性、脂溶性、両親媒性など様々な種類があります。
- 水溶性ビタミンC誘導体(リン酸型、グルコシド型など)
- リン酸型は比較的浸透性が高いですが、グルコシド型は浸透力が劣るとされています。
- 一般的に、水溶性の成分は油溶性の成分よりも先に塗る方が良いとされています。
- 脂溶性ビタミンC誘導体
- 両親媒性ビタミンC誘導体
- 両親媒性ビタミンC誘導体は、水にも油にも馴染みやすい性質を持っています。
- 水溶性ビタミンC誘導体(リン酸型、グルコシド型など)
3. どちらを先に塗るべきか迷う場合
- 基本的に化粧水→美容液→乳液→クリームの順番で問題ありませんが、製品の説明書をよく確認しましょう。
- 自分の肌質や使用感で判断しましょう。
- 心配な場合は、皮膚科医に相談しましょう。
ビタミンC配合化粧品を選ぶ上での注意点
ビタミンC配合化粧品を選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
ビタミンCの種類
ビタミンCには、「ピュアビタミンC」と「ビタミンC誘導体」の2種類があります。 ピュアビタミンCは即効性が高いですが、壊れやすく、肌への浸透力が低いという特徴があります。 一方、ビタミンC誘導体は、安定性と浸透力を高めた成分で、肌に触れると酵素の働きでビタミンCに変換されて効果を発揮します。 ビタミンC誘導体には、水溶性、脂溶性、両親媒性など様々な種類があり、それぞれ特徴が異なることを理解しておきましょう。
濃度
ビタミンCの濃度が高いほど効果も期待できますが、刺激も強くなる可能性があります。 特に敏感肌の方は、低濃度のものから試すのがおすすめです。
配合成分
ビタミンCの効果を高めるために、セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分が配合されているとより効果的です。 また、製品によっては、ビタミンCの効果を阻害する成分が含まれている場合もあるため、成分表をよく確認することが大切です。
価格
高価格な商品が必ずしも効果が高いとは限りません。 成分や配合量、製造方法などを比較検討し、自分に合った商品を選びましょう。
使用期限
ビタミンCは酸化しやすいため、開封後は早めに使い切るようにしましょう。 また、保管方法にも注意が必要です。
メーカーの信頼性: 信頼できるメーカーの製品を選ぶようにしましょう。 製品情報にビタミンC誘導体の種類や特徴などが詳しく記載されていると、より安心です。
自分の肌質
乾燥肌、脂性肌、混合肌など、自分の肌質に合った商品を選ぶことが大切です。 例えば、乾燥肌の方は保湿力の高い脂溶性ビタミンC誘導体が、脂性肌の方はさっぱりとした使用感の水溶性ビタミンC誘導体がおすすめです。
・ビタミンCの効果を高めるためには、ビタミンEや鉄分を一緒に摂取するのもおすすめです。
・初めて使用する場合は、パッチテストを行うようにしましょう。
まとめ
ビタミンCは美容と健康に欠かせない成分で、様々な効果が期待できます。肌にビタミンの効果を届けるには塗る(経皮摂取)のがおすすめですが、体の健康にもビタミンCは欠かせないため食事やサプリメントで経口摂取するのも意識すると良いでしょう。ビタミンC化粧品を使用する場合は他成分と併用したり、適切な順序で使用することでより効果を発揮することがあります。ビタミンCの種類や濃度によって使用感は変わるので、初めて使う場合はパッチテストするようにしましょう。