ぷっくりと魅力的な唇になりたい、コンプレックスを解消したい、そう考えて唇へのヒアルロン酸注入を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
手軽に理想の唇に近づける方法として人気がありますが、「もし失敗したらどうしよう…」「後悔したくないな…」という不安もつきものですよね。
インターネットで目にする失敗談を見て、ますます怖くなってしまった、という方もいらっしゃるかもしれません。
唇のヒアルロン酸注入で失敗したと感じてしまうのには、実はいくつかの原因があり、その多くは事前にしっかりと準備をしておくことで回避できる可能性があります。
この記事では、唇のヒアルロン酸注入における失敗とは具体的にどのような状態を指すのか、なぜ起こってしまうのか、そして何よりも、後悔しないためにあなたが知っておくべきクリニック選びのポイントや、カウンセリングで確認すべきことについて詳しく解説します。
この記事を読めば、不要な不安が解消され、納得のいく結果を得るための賢い一歩を踏み出せるでしょう。
「唇ヒアルロン酸の失敗」って具体的にどんな状態?
唇のヒアルロン酸注入における失敗は、医学的に定義されたものではなく、患者さん自身が「期待していた結果と違う」「不自然に見える」「問題が起きた」と感じる状態を指すことがほとんどです。
具体的には、以下のようなケースが失敗と感じられやすい状態として挙げられます。
不自然な形やボリューム
まず最も多いのが、不自然な形やボリュームになってしまうことです。
例えば、希望した以上にボリュームが出すぎて「たらこ唇」のようになってしまったり、口角が不自然に突き出た「アヒル口」のようになってしまったりするケースです。
これは、注入量や注入する位置のバランスが適切でない場合に起こりやすいです。
しこりや凹凸ができる
次に、しこりや凹凸ができる状態です。
ヒアルロン酸が唇の中で均一に馴染まず、一部が硬く塊になって触れるようになったり、見た目にもボコボコとした凹凸ができてしまったりすることがあります。
これも、注入の技術や、使用する製剤の種類が合っていないことが原因で起こり得ます。
左右非対称になる
他にも、左右非対称になるというのも、失敗と感じやすい状態の一つです。
施術後に明らかに左右の唇の形やボリュームに差が出てしまい、バランスが悪く見えてしまうケースです。
その他
また、通常のダウンタイム(施術後の腫れや内出血が落ち着くまでの期間)を超えて、内出血や腫れがひどい、あるいは長引く場合や、注入したヒアルロン酸が当初入れた場所から意図しない部位に移動してしまうといったことも、稀ですが起こり得ます。
さらに、施術後も痛みが続くといった症状や、ごく稀ではありますが、血管にヒアルロン酸が入ってしまうことによる血行障害(皮膚の壊死などを引き起こす可能性があります)や、製剤に対するアレルギー反応、感染症といった重篤な合併症が起こる可能性もゼロではありません。
これらの重篤な合併症は頻繁に起こることではありませんが、医療行為である以上、リスクとして存在することは知っておくべきです。
なぜ望まない結果になるの?失敗が起こる原因
では、どうしてこのような望まない結果、つまり失敗が起こってしまうのでしょうか?
その原因は一つではなく、いくつかの要因が複雑に絡み合っていることがあります。
施術を行う医師の技術や経験不足
最も重要な要因として挙げられるのは、施術を行う医師の技術や経験不足です。
唇は非常にデリケートで複雑な構造をしており、一人ひとりの骨格や筋肉の動き、元の唇の形に合わせて、適切な種類のヒアルロン酸を、適切な量だけ、正しい層に、そして正確な位置に注入するには、高度な技術と豊富な経験が必要です。
経験が浅い医師や、唇への注入経験が少ない医師が施術を行うと、デザインが不自然になったり、しこりができやすくなったり、合併症のリスクが高まったりする可能性があります。
使用するヒアルロン酸製剤の種類や特性
次に、使用するヒアルロン酸製剤の種類や特性が唇に適していない場合も、望まない結果に繋がることがあります。
ヒアルロン酸製剤には様々な硬さや粒子、持続期間のものがあります。
唇のように柔らかくよく動く部位には、その特性に合った製剤を選ぶ必要があります。
不適切な製剤を使用すると、馴染みにくかったり、硬いしこりになりやすかったりすることがあります。
事前のカウンセリング不足や医師との意思疎通の不備
また、事前のカウンセリング不足や医師との意思疎通の不備も、失敗と感じる大きな原因となります。
患者さんがどのような唇になりたいのか、具体的なイメージ(写真を見せるなど)を医師と十分に共有できていない場合、医師が思っている仕上がりと患者さんが期待している仕上がりにズレが生じ、結果として「イメージと違う」という不満、つまり患者さんにとっての失敗に繋がります。
医師がリスクやデメリット、施術の限界について十分に説明せず、良い点ばかりを強調することも、後々の「こんなはずではなかった」という後悔に繋がります。
被施術者の要因
患者さん側の要因としては、医師からの施術前後の注意点やアフターケアに関する指示を守らなかった場合や、ごく稀ですが、体質によるアレルギー反応などが挙げられます。
最後に、どんなに熟練した医師が、適切な製剤を使って施術を行っても、予測不能な偶発的な要因(例えば、稀に起きる血管への誤注入など)によって、望まない結果や重篤な合併症が起こる可能性もゼロではありません。
これは「失敗」というよりは「リスク」ですが、医療行為である以上、このような可能性も理解しておく必要があります。
もし「失敗かも」と感じたら…どうするべき?
もし、唇のヒアルロン酸注入を受けた後に、「あれ?なんかおかしいな」「期待していた形と違う」「痛みが引かない」「しこりがあるみたい…」など、「失敗かも?」と感じる状態になったら、どのように対処すれば良いのでしょうか。
不安な気持ちでいっぱいになると思いますが、冷静に、そして適切な行動をとることが大切です。
まず、最も重要なことは、施術を受けたクリニックにすぐに連絡を取り、医師に相談することです。
自己判断で様子を見すぎたり、自分でマッサージをしたりすることは絶対に避けてください。
自己流の対処は、かえって状態を悪化させたり、もし血管のトラブルなどの重篤な問題が起きていた場合、対応が遅れてしまう危険性があります。
施術医は、あなたの状態を正確に診断し、適切な処置を施すことができる専門家です。
不安な点や具体的な症状(いつから、どのような状態かなど)を、遠慮せずに医師に伝えましょう。
クリニックでは、あなたの状態を確認し、必要に応じて修正方法について提案してくれるはずです。
ヒアルロン酸注入の大きな利点の一つは、ヒアルロニダーゼという特別な分解酵素を注入することで、ヒアルロン酸を溶かして元の状態に近い形に戻すことができる場合が多い、という点です。
不自然な膨らみやしこり、左右差などができてしまった場合でも、このヒアルロニダーゼによる修正で改善できることがあります。
修正にかかる費用や、修正によってどのようになるのかなどを、医師にしっかり確認しましょう。
もし、施術を受けたクリニックの対応や説明に納得できない場合や、不安が解消されない場合は、別の信頼できる美容外科医や形成外科医にセカンドオピニオンを聞くことも有効な選択肢です。
別の医師の視点から、状態を評価してもらい、修正方法などについてアドバイスをもらうことができます。
万が一、クリニックとの間で深刻なトラブルになってしまった場合は、国民生活センターなどの公的な相談窓口に相談することも考えてみましょう。
しかし、まずは施術を受けたクリニックとしっかり話し合うことから始めてください。
失敗を回避するために最も大切なこと
唇のヒアルロン酸注入における失敗を回避し、納得のいく結果を得るために、最も重要なことは、施術を受けるあなたが事前に正しい知識を持ち、賢い選択をすることです。
もし失敗したらどうしよう?と心配するよりも、「失敗しないためにはどうすれば良いか?」という視点を持つことが大切なのです。
そのために最も力を入れるべきなのが、クリニック選びと医師選びです。
ヒアルロン酸注入は美容医療の中でも比較的ポピュラーな施術になりましたが、誰が、どのような環境で行うかによって結果は大きく変わってきます。
信頼できるクリニック・医師を見つけるためには、まずその医師が唇のヒアルロン酸注入において十分な実績と経験を持っているかを確認しましょう。
症例写真を見せてもらうのも参考になります。
また、形成外科専門医や美容外科専門医といった専門資格を持っている医師を選ぶことも、解剖学的な知識が豊富で、万が一のトラブルにも対応できる可能性が高い点で安心材料になります。
そして、何よりも大切なのが、事前のカウンセリングを丁寧に行ってくれる医師を選ぶことです。
良いカウンセリングでは、医師はあなたの希望する唇の形やイメージ(可能であれば理想の唇の写真を複数枚持参しましょう)をしっかりと時間をかけて聞き取り、それが実現可能かどうか、実現するためにはどの種類のヒアルロン酸をどのくらい、どこに注入するのが適切かを具体的に説明してくれます。
また、施術によって起こりうるリスクや副作用(腫れ、内出血、しこり、アレルギーなど)、ダウンタイムの期間、そして万が一、トラブルが起きた場合の対応や連絡先、修正方法についても、包み隠さず正直に説明してくれるはずです。
費用の内訳についても明確に説明があるか確認しましょう。
疑問や不安に感じたことは、どんな小さなことでも遠慮せずに質問し、すべて解消できるまで施術を決めないことが重要です。
カウンセリングを通じて、医師があなたの希望を理解しようと努めているか、リスク説明を丁寧に行っているか、あなたからの質問に誠実に答えてくれるか、といった点をしっかり見極めるようにしてください。
複数のクリニックでカウンセリングを受けて比較検討することも、後悔しないクリニック選びには有効な方法です。
最後に、施術を決めたら、医師から指示された施術前の注意点(飲酒を控える、特定の薬の服用を中止するなど)や、施術後の過ごし方(アフターケア)**についてもしっかりと守るようにしましょう。
これも、予期せぬトラブルを防ぎ、ダウンタイムを穏やかに過ごすために大切なことです。
まとめ
この記事では、唇のヒアルロン酸注入における失敗について、具体的にどのような状態を指すのか、なぜ起こってしまうのか、そしてもしもの時にどうするべきか、そして最も大切な「失敗」を回避するための方法について解説しました。
唇のヒアルロン酸注入は、手軽に唇の形やボリュームを整えることができる魅力的な施術ですが、医療行為である以上、失敗と感じてしまうようなリスクが存在するということを正しく理解しておくことが何よりも大切です。
望まない結果の原因は、医師の技術や製剤の種類、カウンセリング不足など様々ですが、多くの場合、事前の準備と正しい選択によってリスクを大幅に減らすことが可能です。
もし、施術後に不安を感じる状態になったら、自己判断せず、必ず施術を受けたクリニックの医師にすぐに相談してください。
そして、何よりも「失敗」を回避するために最も重要なのは、経験豊富で信頼できる医師が在籍するクリニックを慎重に選び、事前のカウンセリングで疑問や不安をすべて解消しておくことです。
憧れの理想の唇を手に入れるために、リスクを正しく理解し、情報を集め、信頼できる医師と十分なコミュニケーションを取り、納得した上で施術を受けるという「賢い選択」をしてください。
この記事が、あなたの美容医療に対する正しい知識と判断の一助となり、後悔のない、そして理想の唇に近づくためのサポートになれば幸いです。