「唇のふちだけが黒く見える」
「口角や唇の横に、茶色い黒ずみが残っている」
「口の周りだけ色が暗く、ファンデーションでも隠しにくい」
このような口元の黒ずみは、現れる場所によって考えられる原因が異なります。
唇の輪郭に沿って黒ずんでいる場合と、口角だけが黒ずんでいる場合、唇の周囲の皮膚が広く暗くなっている場合では、適した対策も同じではありません。
また、黒ずみを早く薄くしようとして、スクラブやピーリングを繰り返すと、摩擦や炎症が悪化する可能性があります。
この記事では、唇のふち・口角・唇の横・口周りの黒ずみについて、場所や症状別に考えられる原因と改善方法を解説します。
まずは黒ずんでいる場所を確認しましょう
口元の黒ずみは、大きく次の4タイプに分けられます。

唇の輪郭に沿って黒ずんでいる
唇と肌の境目に沿って、茶色や紫がかった線のような黒ずみが見られるタイプです。
乾燥、摩擦、唇をなめる癖、リップ製品による刺激などが関係している可能性があります。
口角や唇の横だけが黒ずんでいる
左右の口角や、その横の皮膚だけが暗く見えるタイプです。
過去に口角が切れたり、赤みやかゆみが出たりした場合は、炎症が治まったあとに色素沈着が残っている可能性があります。
唇の周りが広く黒ずんでいる
唇のすぐ外側や上唇周辺など、口の周囲の皮膚が広く茶色く見えるタイプです。
スキンケアや歯磨き粉による刺激、産毛処理による摩擦、口周りの皮膚炎、肝斑など、複数の原因が考えられます。
一部分だけ黒い点やシミがある
唇やその周囲の一部分に、はっきりとした黒い点や斑点があるタイプです。
一般的な色素斑であることもありますが、形や色、大きさが変化している場合は、自己判断せず医療機関で確認することが大切です。
タイプ1|唇のふちに沿った黒ずみ
唇の輪郭に沿うように黒ずんでいる場合は、慢性的な刺激や炎症による色素沈着が考えられます。
皮膚や唇に炎症が起こると、炎症が治まったあとにもメラニンが残り、茶色や灰色がかった色素沈着が続くことがあります。
【画像挿入:タイプ1|唇のふちに沿った黒ずみ】
原因1.唇をなめる・噛む・触る癖
唇が乾燥すると、無意識になめたり、噛んだり、皮をむいたりしたくなることがあります。
しかし、唾液が蒸発すると唇や周囲の皮膚はさらに乾燥します。
なめる、乾燥する、再びなめるという状態が繰り返されると、唇のふちや口周りに炎症が起こり、そのあとに色素沈着が残ることがあります。
唇をなめる癖によって起こる「リップリッカー皮膚炎」では、唇の周囲に炎症や色素沈着が残る場合があります。
対策
唇をなめたり、噛んだり、皮をむいたりする癖をできるだけ避けましょう。
乾燥している場合は、香料やメントールなどの清涼成分を含まない、シンプルな保湿剤で唇を保護します。
原因2.ティッシュやクレンジングによる摩擦
食後に口元を強く拭く、落ちにくいリップを何度もこすって落とすといった習慣も、唇のふちへの刺激になります。
口紅の色素がそのまま皮膚へ染み込むというよりも、落とすときの摩擦や、製品による炎症が繰り返されることが問題です。
対策
食後は口元を強くこすらず、水分を含ませたティッシュなどで軽く押さえるように拭きます。
リップメイクを落とす際も、リムーバーを十分になじませてから、こすらずに落としましょう。
原因3.リップ製品などによるかぶれ
口紅、リップクリーム、歯磨き粉、マウスウォッシュなどに含まれる成分が合わず、接触皮膚炎や口唇炎を起こすことがあります。
リップ製品による接触反応は、特に唇と肌の境目にあたる部分に現れやすく、周囲の皮膚や口角まで広がることもあります。
赤み、かゆみ、ヒリつき、皮むけが繰り返されたあと、唇が徐々に暗くなる「色素性接触口唇炎」という状態もあります。
対策
新しい製品を使い始めてから症状が出た場合は、いったん使用を中止します。
複数のリップ製品を重ねず、刺激の少ないシンプルなケアに切り替えましょう。
特定の製品を中止しても症状が続く場合は、皮膚科で原因を確認することが大切です。
タイプ2|口角や唇の横だけが黒ずんでいる
口角や唇の横だけが黒ずんでいる場合は、口角炎や唾液による刺激、その後に残った色素沈着などが考えられます。
原因1.口角炎を繰り返している
口角炎は、口の両端に赤み、ひび割れ、皮むけ、痛みなどが現れる状態です。
唾液が口角にたまって皮膚がふやけることや、カンジダなどの真菌、細菌などが関係している場合があります。
炎症が治まったあとに色素沈着が残ると、「口角だけが黒い」「唇の横だけが暗い」と感じることがあります。
対策
口角に唾液や水分が残らないよう、こすらず優しく押さえて取り除きます。
乾燥している場合は、ワセリンなどを薄く塗って皮膚を保護する方法があります。
ひび割れ、強い赤み、痛み、出血などがある場合は、感染への治療が必要なこともあります。市販薬を自己判断で使い続けず、皮膚科などへ相談しましょう。
原因2.唇の横をなめる癖や唾液の付着
口角をなめる癖、就寝中のよだれ、口呼吸などにより、唇の横へ唾液が繰り返し付着することがあります。
唾液に長時間触れた皮膚はバリア機能が低下しやすく、乾燥や炎症につながることがあります。
対策
唇の横をなめる癖がある場合は、意識して控えましょう。
鼻づまりなどにより口呼吸が続いている場合は、原因について耳鼻咽喉科などへ相談することも検討します。
原因3.マスクや産毛処理による刺激
マスクの端が口角に当たる、カミソリで何度も同じ部分を剃るなど、日常的な摩擦が黒ずみを悪化させる可能性があります。
対策
肌に当たりにくい形や素材のマスクへ替える、切れ味が低下したカミソリを使わないなど、刺激を減らしましょう。
産毛処理後に毎回赤みやヒリつきが出る場合は、処理頻度や方法を見直す必要があります。
タイプ3|唇の周りが広く黒ずんでいる
唇の外側にある皮膚が広く暗く見える場合は、唇そのものの色素沈着とは異なる原因が関係していることがあります。
原因1.口周りの皮膚炎やかぶれ
スキンケア製品、化粧品、歯磨き粉、マスク、唾液などの刺激により、口の周りに皮膚炎が起こることがあります。
赤み、乾燥、かゆみ、ヒリつきなどが治まったあと、炎症後色素沈着として茶色い黒ずみだけが残る場合があります。
対策
新しく使い始めたスキンケアや化粧品がある場合は、いったん使用を中止します。
スクラブ、ピーリング、強い美白成分などを重ねず、まずは炎症の原因となっている刺激を取り除きましょう。
原因2.口囲皮膚炎
口の周りに小さな赤いぶつぶつ、乾燥、皮むけ、ヒリつきなどがある場合は、口囲皮膚炎の可能性もあります。
口囲皮膚炎では、口の周囲に小さなぶつぶつが集まり、乾燥、かゆみ、熱感などを伴うことがあります。外用ステロイドや化粧品などが関係する場合もあります。
対策
ニキビだと思って複数の化粧品を重ねたり、市販のステロイド剤を自己判断で塗ったりすると、症状が悪化する可能性があります。
ぶつぶつや赤み、ヒリつきがある場合は、美白ケアより先に皮膚科を受診しましょう。
原因3.上唇周辺の肝斑
上唇の上に、左右対称の茶色い黒ずみが広がっている場合は、肝斑が関係している可能性があります。
肝斑は、左右対称に現れることが多い、茶色い斑状の色素沈着です。紫外線やホルモンなど、複数の要因が関係すると考えられています。
対策
日焼け止めを使用し、帽子や日傘なども組み合わせて紫外線対策を行いましょう。
肝斑と炎症後色素沈着では適した治療方法が異なるため、自己判断でレーザーや強い美白ケアを行わず、医療機関で診断を受けることが大切です。
タイプ4|一部分だけ黒い点やシミがある
唇や唇のふちに、境界のはっきりした茶色や黒色の斑点が現れることがあります。
唇にできる一般的な色素斑など、良性の変化である場合もあります。
唇にできる「口唇色素斑」は、通常、平らで境界のはっきりした茶色から黒色の斑点として現れます。多くは大きさや色が変わりませんが、見た目だけでほかの病変と正確に区別することはできません。
次のような変化がある場合は、早めに皮膚科などへ相談してください。
・短期間で大きくなっている
・形や輪郭が不規則になってきた
・複数の色が混ざっている
・出血やただれがある
・治りにくい傷がある
・黒い点が急に複数現れた
・口の中や指先など、ほかの場所にも色素斑がある
黒ずみが気になるときの共通セルフケア
黒ずみの原因がはっきりしない場合でも、まずは刺激を減らし、唇と口周りの皮膚を守ることが大切です。

1.スクラブや強いピーリングを控える
黒ずみを早く薄くしようとして、唇用スクラブやピーリングを繰り返すと、摩擦や炎症が悪化する可能性があります。
皮むけや赤みがあるときは角質を無理に取り除かず、まずは刺激を避けることを優先しましょう。
2.唇をなめる・こする・皮をむく癖をやめる
唇や口周りに刺激が加わり続けていると、新しい炎症や色素沈着が生じやすくなります。
保湿を行うだけでなく、黒ずみの原因となっている行動を減らすことが重要です。
3.使用する製品を一度シンプルにする
黒ずみだけでなく、かゆみ、赤み、ヒリつき、皮むけがある場合は、かぶれが関係している可能性があります。
香料、メントール、プランプ成分などを含むリップ製品をいったん控え、刺激の少ない保湿剤を選びましょう。
4.紫外線対策を行う
唇にはSPF30以上のUVカット機能があるリップを使用し、口周りの皮膚にも日焼け止めを塗ります。
屋外では製品の表示に従って塗り直し、食事や飲み物によって落ちた場合も塗り直しましょう。
米国皮膚科学会も、屋外ではSPF30以上の刺激が少ないリップ製品を使用するよう案内しています。
5.美白成分や薬を自己判断で塗らない
唇や口角は刺激を受けやすい部位です。
顔用のハイドロキノン、トレチノイン、ステロイド剤、抗真菌薬などを自己判断で使用すると、炎症の悪化や別の症状につながる可能性があります。
ハイドロキノンについても、口の近くには塗らないよう注意が示されています。
黒ずみの場所や原因に適した治療を、医師の診察を受けたうえで選ぶことが大切です。
医療機関を受診したほうがよい症状
次のような症状がある場合は、セルフケアだけで様子を見ず、皮膚科などへ相談しましょう。
・赤み、かゆみ、ヒリつきが続いている
・口角のひび割れや出血を繰り返している
・口周りに小さなぶつぶつが出ている
・黒ずみの範囲が広がっている
・黒い点の形、色、大きさが変わってきた
・治りにくいただれや傷がある
・使用する製品を変えても改善しない
・口の中や指先などにも色素沈着がある
また、唇全体が急に青色や灰色に変わり、息苦しさ、胸の痛み、めまいなどを伴う場合は、一般的な色素沈着ではない可能性があります。
青色や灰色の唇は、血液中の酸素不足などで起こることがあるため、緊急の対応が必要です。
セルフケアで改善しない場合に検討される治療
黒ずみの治療では、色だけを薄くしようとするのではなく、最初に炎症や刺激の原因を確認する必要があります。
医療機関では、症状に応じて次のような対応が検討されます。
・かぶれや口唇炎の原因となる製品の確認
・必要に応じたアレルギー検査
・口角炎に対する治療
・口囲皮膚炎などへの治療
・肝斑や炎症後色素沈着に適した外用薬
・色素斑の診察や検査
・レーザー治療などの適否判断
黒ずみに見えても、原因によって治療方法は異なります。
炎症が残っている状態でレーザーやピーリングを行うと、かえって刺激が加わる可能性があるため、医師による診断を受けることが大切です。
リップアートメイクで対応できる黒ずみ・できない黒ずみ

リップアートメイクは、唇の浅い層に色素を入れ、唇の色ムラやくすみを目立ちにくく見せる施術です。
ただし、黒ずみそのものを治療したり、メラニンを取り除いたりする施術ではありません。
また、施術対象となるのは基本的に本来の唇の範囲です。
口角の外側、唇の横、上唇周辺など、皮膚部分の黒ずみはリップアートメイクの対象ではありません。
TRUE DESIGN CLINICでは、時間の経過とともに不自然に見える可能性を考慮し、本来の唇の範囲を超えて色素を入れるオーバーリップ施術は行っておりません。
唇そのものの色ムラやくすみが気になる場合はリップアートメイク、唇の周囲や口角の黒ずみが気になる場合は皮膚の状態に合わせた治療というように、黒ずんでいる場所によって方法を分けて考える必要があります。
今すぐ黒ずみを目立ちにくくするメイク方法

黒ずみの改善には時間がかかる場合があります。
一時的に目立ちにくくしたい場合は、肌や唇に刺激を与えない範囲でメイクを取り入れましょう。
唇用の下地やコンシーラーを薄く使う
唇のふちに使える下地やコンシーラーを、黒ずみが気になる部分へ少量なじませます。
厚く塗ると乾燥や崩れが目立ちやすいため、薄く重ねることがポイントです。
赤み、かゆみ、皮むけなどがある場合は、メイクで隠さず治療を優先しましょう。
リップライナーで輪郭を整える
黒ずんでいる輪郭部分を、使用するリップに近い色のリップライナーで整えます。
強く何度もこすらず、軽い力で描きましょう。
透けにくいリップを選ぶ
黒ずみが気になる場合は、シアーなリップよりも、ある程度発色のあるリップのほうが色ムラを目立ちにくくできます。
ただし、落ちにくさだけで選ぶとクレンジング時の摩擦が増えることがあります。落としやすさや、使用後に刺激が出ないかも確認しましょう。
よくある質問
唇の横の黒ずみはリップアートメイクで隠せますか?
唇の範囲外にある皮膚の黒ずみには、基本的にリップアートメイクを行いません。
口角炎や皮膚炎、その後に残った色素沈着など、原因に合わせた治療を検討します。
口角の黒ずみは保湿だけで改善しますか?
乾燥や唾液の刺激が主な原因であれば、刺激を避けて皮膚を保護することで改善する可能性があります。
ただし、ひび割れ、痛み、出血、強い赤みを繰り返す場合は、感染などが関係していることもあるため、医療機関へ相談してください。
黒ずみにはリップスクラブを使ったほうがよいですか?
皮むけや炎症がある状態でのスクラブはおすすめできません。
摩擦によって炎症や色素沈着が悪化する可能性があるため、まずは保湿と刺激の回避を優先しましょう。
黒ずみが薄くなるまでどのくらいかかりますか?
黒ずみの原因、炎症の程度、色素沈着の深さなどによって異なります。
原因となる刺激をやめても、沈着した色がすぐに薄くなるとは限りません。
改善が見られない場合や、赤み、かゆみなどを繰り返す場合は、医師に相談しましょう。
唇全体が紫色や青色に見える場合も色素沈着ですか?
色素沈着ではなく、血液中の酸素不足などによって唇が青色や灰色に見える場合があります。
急に色が変化し、息苦しさ、胸の痛み、めまいなどを伴う場合は、速やかに医療機関を受診してください。
まとめ
唇のふち・口角・口周りの黒ずみは、すべて同じ原因で起こるわけではありません。
唇のふちに沿った黒ずみには、摩擦、唇をなめる癖、リップ製品によるかぶれなどが関係していることがあります。
口角や唇の横の黒ずみには、唾液の刺激や口角炎、その後に残った色素沈着などが考えられます。
口の周囲が広く黒ずんでいる場合は、皮膚炎、口囲皮膚炎、肝斑などとの区別が必要です。
まずはスクラブや強い美白ケアを控え、黒ずみと一緒に赤み、かゆみ、皮むけ、ひび割れなどが出ていないか確認しましょう。
セルフケアを続けても改善しない場合や、一部分だけ色や形が変化している場合は、自己判断せず医療機関へご相談ください。
監修医コメント
唇のふちの黒ずみは、多くの方が悩まれるデリケートな問題です。主な原因は摩擦や紫外線、メイクの落とし残しによる色素沈着ですが、早く治したい一心でハイドロキノン等を用いた自己流のケアを行うと、かえって白斑などの肌トラブルを招く危険があるため注意が必要です。
まずは日々の保湿やUV対策など、正しいセルフケアを見直すことから始めてみてください。それでも改善が難しい場合は、レーザー治療やアートメイクといった医療の力でサポートできますので、ぜひお気軽に当院へご相談ください。








