ふっくらとしたハリのある唇や、キュッと上がった口角、理想の形に整えられたリップラインは、顔全体の印象を大きく左右し、魅力を引き立ててくれますよね。
そんな理想の唇を手に入れるための方法として、ヒアルロン酸注入はとてもポピュラーな選択肢の一つとなっています。
メスを使わずに比較的短時間で変化を実感できることから、美容医療の中でも特に人気の施術です。
しかし、どんな美容医療にもメリットとデメリットがあるように、唇へのヒアルロン酸注入も例外ではありません。
こんなはずじゃなかった…と後悔しないためには、施術の良い面だけでなく、起こりうる可能性のあるデメリットやリスクについても、事前にしっかりと理解しておくことが大切です。
この記事では、唇ヒアルロン酸注入で知っておくべきデメリットやリスク、そしてそれを避けるためにどうすれば良いのかを、皆さんの疑問や不安に寄り添いながら徹底的に解説していきます。
ぜひ最後まで読んで、賢く、後悔のない選択をするための知識を身につけてくださいね。
多くの人が経験する、唇ヒアルロン酸注入の「一時的な」デメリット
唇へのヒアルロン酸注入を受けた方の多くが経験するのが、施術後数日から1週間程度で落ち着く一時的な症状です。
これらは体の自然な反応であることがほとんどですが、初めての方は少し驚いてしまうかもしれません。
腫れ(浮腫)
まず、最も一般的なのが「腫れ(浮腫)」です。
ヒアルロン酸を注入することで、その成分自体や、針による刺激、麻酔の影響などで唇が一時的に腫れます。
注入量が多い場合や、唇が敏感な方は腫れやすく感じる傾向があります。
通常は施術直後が最も腫れており、2~3日をピークに徐々に引いていき、1週間から10日ほどで自然な状態に落ち着くことが多いです。
冷たいタオルなどで優しく冷やすと、腫れを和らげる効果が期待できます。
内出血(あざ)
「内出血(あざ)」も起こりやすい症状の一つです。
唇は血管が非常に豊富な部位のため、注入の際に細い血管を傷つけてしまい、皮膚の下で出血が起こることがあります。
見た目にあざのように見え、最初は赤紫色、その後黄色っぽく変化しながら徐々に薄くなっていきます。
完全に消えるまでには1~2週間ほどかかることがありますが、多くの場合はメイクで隠すことが可能です。
痛み
また、注入時や注入後に「痛み」を感じることがあります。
注入時は麻酔を使用することがほとんどですが、針が刺さるチクッとした痛みや、ヒアルロン酸が注入される際の圧迫感を感じる場合があります。
施術後には、ジンジンとした鈍い痛みや、触ると少し痛むといった感覚があることがありますが、通常は数日で和らいでいきます。
痛みの感じ方には個人差がありますし、使用する麻酔の種類や量、注入方法によっても変わってきます。
我慢できないほどの痛みがある場合は、クリニックに相談して鎮痛剤を処方してもらうこともできますよ。
その他
他にも、注入部位に一時的な「赤み」やかゆみ、ヒアルロン酸が馴染むまでの「違和感」や「ツッパリ感」を感じることがあります。
これらの症状もほとんどの場合、時間の経過とともに自然に解消されていきますので、過度な心配は不要ですが、もし気になる症状が長引く場合は、施術を受けたクリニックに相談してみましょう。
見過ごせない!唇ヒアルロン酸注入で起こりうる「長期的な・重篤な」デメリット・リスク
一時的な症状とは異なり、頻度は低いものの、発生すると問題が長期化したり、専門的な処置が必要になったりする可能性のあるデメリットやリスクも存在します。
これらは可能性として知っておくことが非常に重要です。
しこり・硬結
一つ目は、「しこり」や「硬結」です。
注入されたヒアルロン酸が、一部で塊のようになったり、周囲の組織と馴染まずに硬く触れたりすることがあります。
原因としては、注入する層が適切でなかった場合や、使用するヒアルロン酸製剤の特性、体質による反応などが考えられます。
小さいものであれば時間と共に改善したり、マッサージで馴染ませたりできる場合もありますが、目立つしこりになってしまった場合は、ヒアルロン酸を溶かす注射(ヒアルロン酸溶解酵素)で修正する必要が出てくることもあります。
左右差・凹凸
施術前の唇の形や、注入時の角度や量、術後の腫れの引き方など、様々な要因で左右のバランスが崩れたり、表面がデコボコしたりすることがあります。
わずかな左右差は誰にでもあるものですが、明らかに不自然な仕上がりになった場合は、追加注入でバランスを整えたり、溶解注射で一度戻したりといった修正が必要になります。
これは施術者の技術に大きく左右される部分でもあります。
アレルギー反応
稀なケースですが、アレルギー反応のリスクもゼロではありません。
現代のヒアルロン酸製剤は安全性が高いとされていますが、非常にまれに製剤に含まれるごく微量の成分に対してアレルギー反応が起こることがあります。
強い腫れ、赤み、かゆみなどが広範囲に出る場合があり、医療機関での適切な処置(抗アレルギー剤の投与やヒアルロン酸の溶解など)が必要です。
感染
さらに注意が必要なのが、感染のリスクです。
施術環境の衛生状態が悪かったり、施術後のケアが不十分だったりすると、注入部位から細菌が入って感染を起こすことがあります。
感染した場合、強い痛み、腫れ、熱感、膿が出るといった症状が現れます。
抗生物質による治療が必要となり、場合によっては切開して膿を出す処置や、ヒアルロン酸を溶解する必要も出てきます。
血行障害や皮膚壊死
最も重篤で、しかし非常に稀なリスクとして知っておくべきなのが血行障害、さらに進むと皮膚壊死の可能性です。
これは、注入したヒアルロン酸が誤って血管内に入ってしまったり、血管を圧迫してしまったりすることで、その先の血流が悪くなり、組織に酸素や栄養が届かなくなる状態です。
もし起こると、注入部位やその周辺に激しい痛みが生じたり、皮膚の色が白っぽく変化したり、まだらになったり、冷たくなったりといった症状が現れます。
万が一このような兆候が見られた場合は、直ちに施術を受けたクリニックに連絡し、ヒアルロン酸を溶かす緊急処置を受けることが非常に重要です。
早期に対応すれば回避できる可能性が高まりますが、発見が遅れると皮膚の組織が死んでしまうという深刻な事態になりかねません。
不安を煽るわけではありませんが、このリスクがあることを理解し、異常のサインを見逃さない心構えを持つことが大切です。
ティンダル現象
ティンダル現象といって、ヒアルロン酸が皮膚の非常に浅い層に注入された場合に、光の反射の関係で皮膚が青っぽく透けて見える現象が起こることもあります。
これも見た目の問題につながるため、気になる場合は溶解注射で対処します。
これらの長期的な・重篤なデメリットは、適切なクリニック選びと、施術者の高い技術、そして正しいアフターケアによってそのリスクを大幅に減らすことができます。
思ってたのと違う…「審美的な観点」からのデメリット
医学的な問題ではないけれど、理想とは違った、なんか不自然…といった、見た目に関する後悔につながるデメリットも存在します。
不自然な形状やデザイン
雑誌やSNSで見た憧れの唇をイメージして注入したのに、注入量が多すぎたり、特定の箇所だけに入れすぎたりして、アヒル口になりすぎたり、唇だけが前に突き出て見えたり、顔全体のバランスから見て不自然な印象になってしまうことがあります。
施術を受ける方の骨格やパーツバランス、唇の形は一人ひとり異なります。
流行りの形をそのまま当てはめるのではなく、その人に似合うデザインを見極めるセンスと技術が、医師には求められます。
また、注入したヒアルロン酸の量や層によっては、笑ったり話したりといった表情を変えたときに、少し不自然さが出ると感じる方もいらっしゃるかもしれません。
これも時間の経過や馴染み具合によって変わることもありますが、気になる場合は医師に相談してみてください。
イメージと仕上がりの相違
カウンセリングで伝えたイメージと、実際の仕上がりに相違があることもあります。
言葉だけでは細かいニュアンスが伝わりにくかったり、医師とのイメージ共有が不十分だったりすると、期待していた結果と違うと感じてしまうかもしれません。
過注入
一度注入してボリュームが出ると、それが当たり前になり、さらにもっともっとと過注入を繰り返してしまう方もいらっしゃいます。
結果として、明らかにやりすぎ感のある、人工的な印象になってしまい、自然な美しさから遠ざかってしまうケースも見られます。
これは、経済的なデメリットにもつながりますし、時には美容医療への依存という心理的な問題にも発展しかねません。
これらの審美的なデメリットは、施術者のデザインセンスと、事前の丁寧なカウンセリングにかかっています。
自分がどんな唇になりたいのかを具体的に伝え、医師がそれをどのように実現しようと考えているのか、しっかりとコミュニケーションを取ることが大切です。
見落としがちな「経済的・時間的」デメリット
唇ヒアルロン酸注入を検討する際、多くの人がまず施術にかかる費用を考えますが、それ以外にも発生する可能性のある経済的・時間的なデメリットも把握しておきましょう。
修正にかかる費用
もし注入後に左右差が生じたり、しこりができてしまったりした場合、それを修正するために追加でクリニックを受診し、場合によってはヒアルロン酸を溶かす注射を受けたり、再度バランスを整えるための追加注入が必要になることがあります。
当然ながら、これらの修正にかかる費用は、当初の施術費用とは別に発生します。想定外の出費になる可能性があることを頭に入れておく必要があります。
ダウンタイムがある
施術後には腫れや内出血といったダウンタイムがあります。
個人差はありますが、完全に元の状態に戻るまでには1週間から2週間程度かかることもあります。
この期間は、唇の見た目が通常とは異なるため、人前に出るのが気になったり、食事や歯磨きが少し不便に感じたりと、日常生活に多少なりとも制約が生じます。
特に、仕事やプライベートで重要な予定がある場合は、それを避けて施術日を設定するなど、このダウンタイムを考慮した時間的な調整が必要です。
効果は永続しない
重要なのが、ヒアルロン酸注入の効果は永続しないということです。
注入されたヒアルロン酸は、時間の経過とともに体内の酵素によって分解され、吸収されていきます。
そのため、ふっくらとした唇の状態や形を維持するためには、効果が薄れてきたタイミングで定期的に再注入を行う必要があります。
効果の持続期間は使用する製剤の種類や個人の代謝によって異なりますが、一般的には数ヶ月から1年程度と言われています。
つまり、理想の唇を維持するためには、継続的な経済的な負担が発生し続けることになります。
これは、一時的な出費ではなく、ランニングコストとして認識しておくべき点です。
元の唇の状態に完全に戻らないわけではなく、徐々に注入前の状態に戻っていく、という理解が正しいです。
なぜデメリットは起こる?主な原因と発生リスクを高める要因
ここまで様々なデメリットやリスクを見てきましたが、では、これらは一体なぜ起こるのでしょうか。
その主な原因を知ることは、リスクを回避するためのヒントになります。
施術者の技術や経験
最も大きな要因の一つが、施術者の技術や経験です。
唇の解剖学的な構造(血管や神経の通り道など)を正確に理解しているか、どの層にどれくらいの量を注入すれば自然な仕上がりになるのか、使用する製剤の特性を把握しているかなど、医師の知識と技術が仕上がりの質やリスクの発生率に大きく影響します。
経験の浅い医師や、唇への注入を得意としていない医師の場合、左右差やしこり、血管内注入といったリスクが高まる可能性があります。
使用するヒアルロン酸製剤の種類
ヒアルロン酸製剤には、様々な硬さや特性を持つものがあります。
唇はよく動く部位なので、柔らかすぎず硬すぎない、唇に適した製剤を選ぶことが重要です。
不適切な製剤を使用したり、製剤の特性を理解せずに注入したりすると、しこりや不自然な仕上がりの原因となることがあります。
個人の体質
アレルギー体質の方や、もともと内出血しやすい方、傷跡が残りやすい体質(ケロイド体質など)の方は、デメリットが発生するリスクがやや高くなることがあります。
カウンセリングで既往歴や体質について医師に正直に伝えることが大切です。
不適切なアフターケア
不適切なアフターケアもリスクを高める要因となり得ます。
施術後にクリニックから指示された注意事項(飲酒・喫煙・激しい運動の制限、注入部位への刺激を避けるなど)を守らないと、腫れや内出血が悪化したり、感染のリスクを高めたりする可能性があります。
これらの原因が単独で、あるいは複合的に作用することで、様々なデメリットが発生する可能性があります。
デメリットを最小限に抑えるために、私たちができること
デメリットやリスクを知ると少し不安になるかもしれませんが、心配しすぎる必要はありません。
これらの可能性を最小限に抑えるために、私たち自身ができる大切なステップがいくつかあります。
信頼できるクリニックと医師を選ぶ
まず何よりも重要なのが、信頼できるクリニックと医師を選ぶことです。
安さや手軽さだけで決めるのではなく、そのクリニックや医師が唇のヒアルロン酸注入について十分な経験と実績があるかを確認しましょう。
医師の経歴や資格、特に形成外科や美容皮膚科といった専門分野を持っているかも参考になります。
症例写真を複数見せてもらい、自分の理想に近い仕上がりになっているか、不自然な症例がないかなどをしっかり確認してみてください。
できれば、その医師が学会に参加したり、新しい技術を学んだりしているかも調べてみると良いでしょう。
丁寧なカウンセリングを受けることの重要性
次に、丁寧なカウンセリングを受けることの重要性を理解しましょう。
カウンセリングでは、自分がどのような唇になりたいのか、具体的に医師に伝えてください。
同時に、不安なことや、体質、アレルギー歴、服用中の薬なども全て正直に話しましょう。
そして、施術内容、使用する製剤の種類と量、期待できる効果、そして今回解説してきたようなデメリットやリスク、ダウンタイムについて、医師から十分な説明を受けてください。
もし分からないことや不安なことがあれば、納得がいくまで質問しましょう。
良いクリニックや医師は、時間をかけて丁寧に説明し、こちらの疑問や不安に真摯に向き合ってくれます。
「なんとなく大丈夫そう」ではなく、心から納得して施術を受けられるかどうかが大切です。
使用するヒアルロン酸製剤の名前や、その製剤を選んだ理由なども、可能であれば確認してみてください。
どんな製剤を使うのかを知ることも、安心につながります。
正しいアフターケアの実施
施術を受けた後は、クリニックから指示された正しいアフターケアをしっかりと実施しましょう。
これは、一時的な腫れや内出血を早く落ち着かせ、感染などのリスクを避けるために非常に重要です。
自己判断でケアを変えたりせず、指示通りに過ごすようにしましょう。
これらのステップを踏むことで、デメリットが発生する可能性をぐっと減らし、理想の仕上がりに近づけることができるはずです。
もしもの時は?トラブル発生時の適切な対処法
どんなに注意していても、ごく稀に予期せぬトラブルが発生してしまう可能性もゼロではありません。
もし注入後にいつもと違う、なんだかおかしいな、と感じるような異常が見られた場合は、落ち着いて適切な対処をすることが重要です。
まず行うべきことは、施術を受けたクリニックにすぐに連絡することです。
自己判断で様子を見たり、他の人に相談したりするよりも、施術を行った医師にいち早く状況を伝えることが最善です。
特に、痛みが強くなったり、唇の色がおかしくなったり、冷たさを感じたり、といった血行障害が疑われる症状の場合は、時間との勝負になる可能性があります。
迷わず、すぐにクリニックに電話しましょう。
クリニックに連絡する際は、いつ施術を受けたか、どのような症状が出ているか(痛みの場所や程度、腫れ、色、感触の変化など)を正確に伝えるように心がけてください。
可能であれば、症状が出ている箇所の写真を撮っておくと、状況を把握してもらいやすくなります。
クリニックの指示に従って受診したり、適切な処置を受けたりすることが重要です。
自己判断で勝手に触ったり、薬を塗ったりすることは禁物です。
かえって症状を悪化させてしまう可能性もあります。
万が一、施術を受けたクリニックが適切に対応してくれない、あるいは連絡がつかないといった場合は、他の美容クリニックや、皮膚科、形成外科などの専門医に相談することも検討してみてください。
特に、重篤な症状が疑われる場合は、ためらわずに救急病院を受診することも視野に入れる必要があります。
トラブルが発生しないことが一番ですが、もしもの時に慌てず冷静に対処できるよう、事前にクリニックの緊急連絡先などを確認しておくことも安心につながりますね。
まとめ
この記事では、唇ヒアルロン酸注入で起こりうる様々なデメリットやリスクについて詳しく解説してきました。
魅力的な唇を手に入れるための有効な手段である一方で、一時的な腫れや内出血といったダウンタイム、稀ではあるもののしこりや感染、そして最も注意すべき血行障害といった重篤なリスクが存在することを理解していただけたかと思います。
また、審美的な不自然さや、修正にかかる費用、そして効果を持続させるための継続的なコストといった、見落としがちなデメリットについても触れました。
これらのデメリットやリスクは、施術を受ける方自身の体質によるものもありますが、最も大きく影響するのは施術を行うクリニックや医師の選択、そして、事前の丁寧なカウンセリングです。
安易な気持ちで施術を受けるのではなく、今回この記事で知った知識を活かして、複数のクリニックを比較検討し、経験豊富で信頼できる医師を見つけることから始めましょう。
そして、自分の希望をしっかりと伝え、リスクについても納得がいくまで説明を受ける時間を大切にしてください。
唇のヒアルロン酸注入は、計画的に、そしてメリットとデメリット双方をしっかりと理解した上で行うことで、後悔する可能性をぐっと減らすことができます。
ぜひこの記事が、あなたの美容医療における賢い選択の一助となれば幸いです。